UNLEASHED SPEED UNLEASHED SPEECH(MISFITS)
Curated By Stefan Brüggemann
2020年9月5日(土) -12月19日(土)
KOTARO NUKAGA(天王洲)
解き放たれたスピード
解き放たれたスピーチ
(はみ出し者)
展覧会のタイトルでもあるステファン・ブルッゲマンが放つ文字列に、わたしたちははっとする。現代生活のスピードは極限状態であり、ふとしたきっかけで疑問や抵抗が堰を切ったように溢れ出す。「スピード」と「スピーチ」という二つの語の頭韻が示すのは、社会への情報伝達方法における鋭い洞察であり、それは同時に抑圧でもある。
求められるのは、成熟した資本主義が築き上げた文化的、政治的、経済的な金字塔を一度まっさらな状態にすることだ。ハイスピードの時代はさらなる加速とともに突き進みながら、機能不全という宿命的な最期に向かっている。その破壊力は、現代システムとその生みの親である権力構造もろとも抹消することさえできる。
副題の「MISFITS(はみ出し者)」には、美術界のアウトサイダーであるアーティストたちの立ち位置が反映されている。これは、ミシェル・フーコーの「怪物こそが重要な形象であり、権力の審級と知の領域はこの形象を中心として動揺し、再組織化され」るとの思想にも同調する。
この展覧会は、資本主義が大惨事に陥る中での人間行動の社会学的記録だ。さらに言えば、政治というシステムの中でいかに生きるかの指南書でもあるのだ。
(展覧会ステートメント)


KOTARO NUKAGAでは、ロンドンとメキシコシティを拠点とするコンセプチュアル・アーティスト、ステファン・ブルッゲマン(1975年 メキシコシティ生まれ)キュレーションによる展覧会「UNLEASHED SPEED UNLEASHED SPEECH (MISFITS)」を開催いたします。
ブルッゲマンは欧米諸国で展覧会を重ね、今後さらなる活躍が期待されている注目のアーティストです。2018年秋KOTARO NUKAGAにて開催した日本初の個展は、現代のデジタルカルチャーを反映したシリーズ作品が好評を博しました。ブルッゲマンのキュレーションによる本グループ展には、本人とともに、国際的に活躍するアーティストであるオリオール・ヴィラノヴァ、ジェイ・レヒシュタイナー、ガーダー・アイダ・アイナーソンの3名が参加します。それぞれが異なる背景と作風を持ちながらも、情報が氾濫し加速を続ける現代の状況を鋭く見つめ、独自の視点と方法によって切り取った側面を作品に反映させています。社会が変化するスピードは留まる所を知らず、目の前を流れていく膨大な情報の表層だけではなく、深い洞察力を持って物事の本質を見抜く力が一人ひとりに対して問われています。この展覧会が、アートに対して、また社会に対する新たな視点を持つきっかけとなれば幸いです。
アーティスト
会期
2020年9月5日(土) -12月19日(土) 11:00~18:00 (火・水・木・土) 11:00~20:00 (金) ※日月祝休廊 ※開廊時間、入場制限等につきましては随時変更させて頂く可能性があります。
会場