松山 智一 展覧会|Long Museum West Bund
龍美術館西岸館(Long Museum West Bund)は、2020年11月12日から2021年1月24日まで、松山智一による中国本土初の個展「Accountable Nature」を開催いたします。本展では松山の代表作や最新作となる、鮮やかなキャンバス作品から巨大な立体作品を体系的に展示し、現代においてアーティストが果たすべき使命に支えられたその思想とあわせて紹介します。
本展覧会のタイトル「Accountable Nature」は、自然災害や予期せぬ出来事が社会や経済の機能を麻痺させることを意味するforce majeure(不可抗力)という専門用語にちなみます。人は自然の恵みを享受し、平時は両者の間に安定的な関係が築かれます。しかし、時として猛威を振るう自然はその信頼関係を揺るがし、人は抵抗するすべを失います。理不尽とも思える自然の力に説明責任(accountable)はありません。移ろいゆく自然の中で松山が見たものは、人々が日々生き、未来に希望を持ち、生活を再構築していく姿でした。本展を象徴する7mの巨大彫刻≪Nirvana Tropicana≫はまさしく、松山が人々の生活空間に漂うこのような観念を彫刻し具現化した作品です。
《Cluster 2020》, 2020
松山は常より、我々の生きる時代を捉え、表現することがアーティストの役割であると述べます。そしてその興味は、窓の外で起こるリアルな事象をデジタルの画面で認識するような、現実と非現実の境界線が益々曖昧になっていく現代社会に向かいます。松山が「編集」をキーワードに制作してきたノマディックでユートピアンな世界観をもつキャンバス群は、自然とデジタル、現実と非現実といった我々の時代を構築する不安定な二項対立を描き出し、強烈な同時代性を放つのです。社会が「新しい生き方」に適応しようと模索する中で、松山の作品は、人々がアイデンティティを見出す「現実(リアリティ )」とは本当の世界なのか、そもそも「現実(リアリティ )」とは一体何なのか、という問いを投げかけます。
《Desktop Utopia》, 2020
渡航の難しい時期ではありますが、お近くにお越しの際は本展覧会に是非お立ち寄りください。
松山智一「Accountable Nature」
2020年11月12日(木) ー 2021年1月24日(日)
龍美術館西岸館
上海市徐汇区龙腾大道 3398号

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