オーバーストーリー
小林 万里子
2021年4月17日(土) – 6月5日(土)
KOTARO NUKAGA(天王洲)
KOTARO NUKAGAでは、小林万里子(1987年 大阪生まれ)の個展「オーバーストーリー」を2021年4月17日(土)から6月5日(土)まで開催します。
※田窪恭治「Camélia」を同時開催いたします。
小林は、代表的技法である染織から刺繍、編み物まで多様な手法と素材を組み合わせて「生命の循環」を表現し続けています。昨年11月にCADAN有楽町で展示された作品《熱と水》では山を中心に据えた生態系サイクルを、高さ3m、幅5mにも及ぶ色鮮やかな布素材を用いて圧倒的なスケール感で表現し、街を行き交う人々からも熱い注目を集めました。また、2013年にはスターバックスコーヒー本社ビル、2017年にはパークホテル東京の一室にコミッションワーク《縁》を制作するなど、確かな手仕事と揺るぎない世界観で多方面から高い評価を得ています。
小林は、小さな疑問をきっかけに自らを取り巻く世界そのものの成り立ちを紐解こうとするように制作しています。それは例えば身近な人や生物の生命の終わり。亡きがらは大地へ還り次の命を生み出す温床となり、手向けられた花が落とした花粉や種を育て次の命にバトンをつなぐ自明の理を改めて考えてみるとき、小林は自身のあり方を問い直します。命の終わりを終焉ととらえず、新たな命の物語の始まりとして位置付け、丁寧につむぎ合わせていくような制作過程からは、壮大な生命の営みへの畏敬の念や祈りにも似た小林の姿勢が垣間見えます。そして、古来から未来永劫に連綿と続く確かな生命の営みのただなかにある、小さな通過点にしか過ぎない私たち一人一人が無自覚に生み出した人工物を、次世代に残すことに対して生じる疑問や戸惑いは、土に還る自然素材を丁寧に選びとる姿勢に反映されているのです。


今を超えたのちに始まる別の時間、物語を想像すると、その世界は既に足元に大きく広がっていることに気づく。
私たちは誕生から寿命までの時間を、一本の直線のように感じて生きている。
直線の時間の終わりには、すべてのものは土へと還る。
土壌は既に死んだものたちから成る温かい場所である。毎年積み重なる草の遺骸で腐葉土ができ、草の根でゆっくりと土が耕され、鳥が糞と共に撒き散らした種から新しい芽がでる。そこから始まる世界では、緩やかに混ざり合い、繰り返され、終わりある直線ではなく、樹木の年輪のように円を描きながら深く豊かに広がってゆく。
果てしない時間をかけて形成された「命の円」の薄皮を削りながら、私たちはこの世界に何を作りだそう。
小林万里子
今回の展覧会タイトル「オーバーストーリー」には、私たちの祖先たちが生きてきた夥しい数の命の積層の上に成り立っている私たちの今を描く物語、そして私たちが役目を終えて土に還ったその後の命が織りなす世界の物語、というふたつの意味が込められています。様々な空間の特徴を踏まえ、空間全体を使ってコンセプトを具現化することに定評のある小林が「命の円」の薄皮に形を与え、新たな物語をつむぎ出します。ぜひご高覧ください。
アーティスト
会期
2021年4月17日(土) – 6月5日(土) 11:00~18:00 (火-土) ※日月祝休廊 ※開廊時間、入場制限等については随時変更させて頂く可能性があります。
会場
ご来廊の際のお願い
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